三菱重工業(以下、三菱重工)および三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング株式会社(MHIENG、社長:寺沢 賢二、本社:横浜市西区)は、スコットランド・アバディーンシャーのピーターヘッド発電所で建設が予定されているガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備とCO2回収プラントに関する基本設計(FEED:Front End Engineering Design)を受注しました。三菱重工とMHIENGは、ともに国際的なエンジニアリング会社であるウォーリー社(Worley)、テクニカス・レウニダス社(Tecnicas Reunidas, S.A.)と共同で、エス・エス・イー・サーマル社(SSE Thermal)が所有する同発電所向けに、三菱重工の最新鋭機種である次世代高効率M701JAC(J-Series Air-Cooled)形ガスタービンならびにMHIENGが関西電力株式会社と共同開発したCO2回収技術「Advanced KM CDR Process™」を用いたCO2回収プラント納入の事業化を検討します。
このプロジェクトは、英国大手の電力会社であるスコティッシュ・アンド・サザン・エナジー社(Scottish and Southern Energy plc)の火力発電事業を担うエス・エス・イー・サーマル社とノルウェーに本拠を置く北欧最大のエネルギー企業であるエクイノール社(Equinor Energy AS)が進めているもので、約150万トン/年のCO2を回収し、北海の沖合へ回収したCO2を貯留する計画です。GTCC発電設備とCO2回収プラントを同時に建設し、GTCC排ガスからのCO2回収で商用規模のCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)実現を目指すスコットランド初のプロジェクトとなります。
英国政府は2050年までにCO2排出量をゼロにする「ネットゼロ」を掲げています。当社グループはこうした潮流にタイムリーに対応するべく、MHI-EMEA(欧州・中東・アフリカ三菱重工業)のロンドン本社に脱炭素事業拠点「DBD(Decarbonization Business Department)」を設置し、英国への営業体制を強化しています。
三菱重工グループでは、エナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでおり、CO2エコシステムの構築はその中の柱の一つです。CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されています。三菱重工ならびにMHIENGは、グループシナジーを発揮して発電設備・CO2回収の両面から同発電所の全体最適化を図るとともに、スコットランドにおける象徴的な脱炭素プロジェクトを実現するべく一丸となって顧客ニーズに応え、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。